私たちの研究グループでは、すでに20年以上前から抗アレルギー薬の新薬開発に参加し、数多くの臨床試験を行ってきました。なかでも興味深い成果をあげられたもののひとつが、ここでご紹介する「甜茶」です。その働きは当初の予測以上で、クシャミ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど、アレルギー性鼻炎や結膜炎の諸症状緩和に有効であると結論できます。
まずは、甜茶とはどんなお茶なのかを簡単にご説明しましょう。「甜」とはすなわち「甘い」という意味の漢字です。中国では甜茶というと特定の種類ではなく、甘い風味のお茶全体を指し、代表的なもので4種類あります。そのうち、私たちの臨床試験で抗アレルギー作用が確認されたのは、バラ科キイチゴ属の「甜茶懸鈎子(てんちゃけんこうし)」と呼ばれる甜茶です。
なお、甜茶の甘み成分はルブソシドという物質で、そのカロリーはゼロと考えてよいでしょう。特有の成分としては、口臭予防に役立つタンニン(お茶の中でも珍しい構造)のほか、カルシウム、カリウム、マグネシウムなど、人間の生命維持に不可欠なミネラルを豊富に含んでいます。
さて、甜茶の抗アレルギー作用を調べる試験は、アレルギー性鼻炎の患者さん21名を対象として実施しました。ダニ、ホコリなどがアレルゲン(原因物質)となって、慢性的に鼻炎に悩んでいる患者さんに、甜茶エキス40mg含有のアメを朝・昼・晩の1日3回、1粒ずつなめてもらいました。4週間の試験期間を通し、クシャミ・鼻水・鼻づまり症状の変化と、鼻誘発反応検査・好酸球検査(いずれもアレルギー反応の程度を調べる)の結果を調べたわけです。
鼻症状や鼻の診察、他覚的な検査結果を総合して評価した全般改善度は、2週目で著明改善した人1名(10.0%)、中等度改善した人5名(25.0%)、軽度改善した人6名(30.0%)、変わらなかった人5名(25.0%)、悪化した人2名(10.0%)でありました。4週では、著明改善2名(10.0%)、中等度改善5名(25.0%)、軽度改善8名(40.0%)、不変5名(25.0%)でした。 |