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先生方のお話 先生方のお話 一覧

 

「グルコサミン」と「コンドロイチン」のお話 柳本 行雄 先生(生活科学研究所所長・医師・医学博士)

変形性関節症(腰痛、ひざの痛み、五十肩を含む)に期待されるもの!

最近欧米で人気を博し、注目されている
グルコサミンとコンドロイチン硫酸の配合剤

 年をとると若いとき何でもなかった階段の昇り降りや腰をかがめたりする動作などが負担になってきます。かつてのあの若かりし頃を思い浮かべて「年老いた」という気持ちが頭をもたげてくるのはこのような体のきしみを感じる時でしょう。50代60代そして70代へと進むにつれてそういった思いをさらに強く感じるのは私一人ではないでしょう。日常の起居振舞いにおいて腰痛、ひざの痛み、五十肩を含めた諸種の関節痛を訴える人たちが年々増加の一途を辿っている事実は、見逃すことのできない重大関心事であります。

 どうしてこのような症状が発現するのか、これに加え日常生活における種々の生活様式がどのように左右するのか、その源となる骨格についてまず説明しておきましょう。

 
骨格の成り立ち

 私たちの体は約200個の大小、種々な形をした骨によって組み立てられております。

 これらの骨の連結には不動性結合と可動性結合の二種類があり、後者が関節と呼ばれています。これは両骨間に隙間があり、自由に骨を動かせる仕組みになっています。関節は骨と骨の連結ですが、硬い骨同士が直接接触することにより摩滅し、運動障害をおこして痛みを訴える原因となります。こういったことを防止するため、それぞれの骨の表面(関節面)に関節軟骨が存在し、骨を保護したり、クッションのような役割を果たしています。

先生方のお話 一覧
ビタミンPとビタミンCのお話 三羽 信比古先生
甜茶のお話 鵜飼 幸太郎先生
花粉症のお話 永倉 俊和先生
亜鉛のお話1 田中 久先生
亜鉛のお話2 富田 寛先生
α-リノレン酸のお話 奥山 治美先生
L-カルニチンとコエンザイムQ10のお話1 紀氏 健雄先生
L-カルニチンとコエンザイムQ10のお話2 矢澤 一良先生
グルコサミンとコンドロイチンのお話 柳本 行雄先生
 
出典:解剖学書より
 
軟骨を構成する成分

 軟骨は関節の働きを滑らかにする組織です。その軟骨を構成する成分の中心的なものは、基質である軟骨細胞で、これに加えて水分、コラーゲン、プロテオグリカンによって構成され、これらがバランス良く働いておれば健全な軟骨としての機能が保たれますが、バランスがくずれるとなんらかの異常、障害が起こります。これらの軟骨の組成について大約を説明しておきましょう。

(イ)水分
軟骨中の水分は、軟骨の65〜80%といわれており、これが軟骨基質を保持する重要なかぎになっています。
(ロ) コラーゲン
私たちの体の中でもっとも多く含まれているタンパク質で、細胞、組織の成長、損傷などに対し補修的な作用を持っています。このタンパク質は皮膚、骨、腱、角膜といった様々な組織に存在し、とりわけ軟骨を構成する重要な成分です。これが軟骨に弾力性を与え、外力を吸収する役割を果たします。
(ハ) プロテオグリカン
生体内で糖蛋白の成分として存在し、コラーゲン線維、水分などと組み合って組織、器官 の強度、柔軟性の保持に働いています。これは生体内で常に合成、分解が行われていますが、加齢とともに合成能力が低下するために、特に軟骨組織が消耗するわけです。
 
日常の食生活において、魚、肉などに含まれるプロテオグリカンを摂取し、その一部が腸内細菌によって分解し、グルコサミンとして重要な働きをしています。プロテオグリカンはヒアルロン酸やコンドロイチン、ヘパリンといったいわゆるグリコサミノグルカンの集合体であり、これらが前述の水分やコラーゲンなどと組み合って働いています。これらの成分が健康な関節を保持するのにいかに重要なものであるかとご理解頂けたでしょう。
 
変形性関節症の発症

 これは年齢とともに発現、老化を意味する一過程です。若い人でも激しい運動をするスポーツマン、肥満などで下半身に重い圧力を負荷する人、ストレスの多い人などは変形性関節症の発症の確率は増加します。

 中でも目だつのは中高年の腰痛とともにひざの関節痛であり、五十肩などでありますが、そのほとんどは変形性関節症とされています。これらは突然発症するのではなく、長い年月を経て悪化する加齢現象で、軟骨成分の合成能と分解能のバランスの崩れ、肥満、過度のストレス、性差などが大きな要因と考えられています。

 欧米での調査報告では、65歳以上の人では63〜85%に症状が見られており、日本でも厚生省(現厚生労働省)の調査においても変形性関節症および類似疾患の患者数は50万人以上といわれております。性別では女性の罹患率が高く、さらに年齢別では男女とも50歳以上から発症、増加し70歳台後半が頂点に達しているようです。

 
変形性関節症および類似症の性・年齢別受療者率
 
 なお、治療に至らなくても関節痛を訴える中高年者に多く見受けるということは潜在的な実数はさらに多いと推定されます。
 
変形性関節症に対する現在の治療法

関節には骨相互の摩擦を防ぎ、衝撃を吸収させるための軟骨が果たす役割は非常に大きいのですが、これがなんらかの原因によって異常が生じると軟骨が摩擦し、最終的には消失します。今日日本では、これらの疾患に対する治療法は、対症療法的に行われていますが、経口的に症状を軽減させたり、予防を目的とする薬剤が見られませんでした。

(イ) 化学療法
関節内注入療法 …   ステロイド剤、ヒアルロン酸ナトリウム
鎮痛剤 ……………   アセトアミノフェン、イブプロフェン、非ステロイド
(ロ) 外科的療法
人口膝関節置換術
(ハ) 理学療法
温熱療法、筋肉増強訓練
 
グルコサミンとコンドロイチンの併用による相乗効果

 アメリカでは、最近俄然脚光を浴び多くの治療例が報告されているものにグルコサミンという膝、肩、腰、ひじ、脊柱などの変形性関節症に対して非常に有効で、ドイツでは早くから医薬品として承認されてきた物質とプロテオグリカンの構成成分であるコンドロイチンを配合した栄養補助食品があります。

(イ) グルコサミン
プロテオグリカンという保湿物質を生成するための大切な成分で、軟骨組織を刺激して保湿物質を生成するものです。すなわちグルコサミンが豊富にあればプロテオグリカンも多量に生産され、軟骨はより多くの水分を保持できるのです。
(ロ) コンドロイチン
プロテオグリカンを構成する成分であり、水分を保持するための重要な役割を果たしています。軟骨に水分を吸収するとともに軟骨を分解する酵素の働きを抑制、軟骨が必要以上に破壊されないように防止する働きをもっています。さらに、グルコサミンと協調して新たな軟骨の成分となるプロテオグリカン、コラーゲンの生成を促進します。このようにグルコサミンとコンドロイチンはそれぞれ単独でも一定の効果をあげるわけです。
 
グルコサミンは軟骨の形成を促進せしめ、これに対してコンドロイチンは軟骨分解酵素の働きを抑制させて軟骨の働きを正常化する作用があります。したがってこれらの併用は、軟骨の修復や関節の痛みの軽減に対する相乗効果が期待されます。
 
柳本先生のプロフィール
柳本先生
柳本 行雄 【ヤナギモト ユキオ】
医学博士
1929年   大阪生まれ
大阪市立医科大学卒業後、医師の資格を得る。大阪歯科大学、大阪市立大学講師などを歴任。この間、文部省在外研究費によりパリ大学留学、国際会議で研究報告等の海外活動を経て、昭和47年生活科学研究所を開設し、所長に就任。
 

各種化学物質の安全性試験および有効性研究などの傍ら、四天王寺国際仏教大学教授および校医を兼職。またPL法施行に伴い、生活科学研究所が通産省原因究明機関ネットワークとして登録され多方面にわたり活躍。

日本トキシコロジー学会認定トキシコロジスト。
医学博士(日本消化器病学界終身認定医)

主な著書・論文に 「暮らしのなかの科学(物のできるまで)」(ダイヤモンド社)、「超・睡眠革命」(ジュピター出版)、「ドクター・ヤナさんの肝心カナメの健康法」(ジュピター出版)、「科学技術の進歩と人間生活−高度情報社会における健康維持の対応について−」(講演)ほか多数。

 
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